会長ご挨拶

ASDO会長就任にあたって

一般社団法人 東京構造設計事務所協会
会長 山内哲理

2019年6月に開催された一般社団法人東京構造設計事務所協会(略称 ASDO)の通常総会で会長に就くことになりました。就任して半年となりますが、ASDOの益々の発展のためになお一層の努力をいたす所存ですので、よろしくお願い申し上げます。

ASDOは首都圏で唯一の構造設計専業事務所の団体です。会員事務所は比較的小規模事務所が多く、小規模であるが故に様々な問題に直面することがあります。近年いわゆる大手組織事務所では、その圧倒的なマンパワーと高度な技術力を駆使して多くの大規模建築物等を設計し、大手施工会社では技術開発に力を入れ、その先端技術を生かした建築物や、コストやスケジュール管理能力を生かして様々な建築物の設計・施工を行っています。さらに今後建築界では、AIやBIMが大きな役割を果たしていくであろうことを考えると、ASDOとして今後どのような活動を行って会員事務所を支援していくべきか、十分な議論を基に、実行していくことが大切です。ASDOは小規模事務所の集まりであるが故に、会員全体で一致団結して物事にあたっていく必要があると考えています。

まずASDOが活動していくべきことは、ASDOの定款に記載されている「目的」に沿った活動を進めていくことであると考えます。

第1に、ASDOは構造専業事務所主宰者の集まりですから、会員事務所の健全な経営のための様々な支援を行っていくことです。今年度は「ASDO版 設計業務委託契約書」を弁護士の方に作成頂き研修会を開催して会員に公開しましたし、社会保険労務士の方を招いて労務研修会を2月に開催予定です。引き続き、労務・税務・法務等につきまして研修会の開催等、皆様の支援をしっかりとやっていきたいと考えております。

第2に、「会員相互の支援および交流」を推し進めていくことです。賛助会員の方々にも参加頂いて身近なテーマでシンポジウムを開催し、これからの構造設計者を取り巻く環境などについて考えていくこと、若手で活躍されている構造設計者との勉強会を通じて若い構造設計者にも参加いただけるような取り組みを続け、若手会員の増強を図ること、また賛助会員の工場見学など、会員相互の支援・交流を進めていきます。

第3に、「建築界での社会的地位の向上を目指し、社会貢献に寄与する」ことです。現在、(一社)東京都建築士事務所協会、(一社)東京都設備設計事務所協会、(一社)日本建築積算事務所協会関東支部と合わせ四会で「東京建築設計関連事務所協会協議会(TARC)」を発足させ活動を開始しております。この協議会では、建物を建てるうえで欠かすことの出来ない意匠・構造・設備・積算の各分野のプロフェッショナル団体が同じプラットフォームに立って、それぞれのより幅広い知識と経験を活かし、お互いに協力・研鑽することで、今まで以上に社会のニーズに応え、建物の安全・安心確保に貢献し、社会的な職能認知を図るものです。

先日、四国や紀伊半島沖合の海底でスロースリップ現象が確認されたというニュースがありました。南海・東南海トラフによる大地震のまえぶれか、として注目されておりますが、今後20年程度の間に大地震が発生する確率が非常に高く、いつ大地震が来てもおかしくないと言われて久しい2020年のオリンピックイヤーを迎え、ASDOは一丸となって活動を進めてまいりますので、何卒さらなるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。